昨年の11月にベッドから転落して大腿骨骨折した母が退院してきたのは今年の1月でした。アルツハイマー型認知症は進行し、歩行器を使っての歩行距離は10mが精一杯。そんな母ですが、穏やかに暮らしています。というところからのお話です。
現在は母と兄と僕の3人暮らし
幸か不幸か、僕も兄も離婚していまして独り者です。息子は離婚すると確実に親孝行者として帰ってくると言っておきましょうwさて、兄はフリーランスとしてほぼ在宅ですので昼間は兄が母の世話をしています。僕は介護現場を離れ規則正しい生活となりましたので、僕が世話をするのは帰ってきてから早朝までとなります。人生で一番息子を必要とする時期に2人に支えられているのですから、母は恵まれていますよね。
大腿骨骨折による下肢筋力低下とアルツハイマー型認知症の進行で要介護2から要介護4へ
要介護4の上は要介護5しかありませんから状態は良くありません。ただし介護度は病気の度合いを示すものではなく、日頃の生活が不自由で人の手を借りなければならない度合いをいいます。母の場合、要介護4の殆どは歩行困難のアルツハイマー型認知症による記憶障害による不自由さ。それは何が待っているかと言うと。
- トイレに間に合わない
- お風呂に入りたがらない
この2つなのですが、これは「不潔」に直結することになります。面倒くささよりも物理的に足が動かないので遠ざかってしまいます。ただし介助者によって必要な清潔さを保つことが可能です。よく1週間に3回の入浴ということを聞きますが、これはほとんどがご家族や中途半端に理のわかった風の人の自己満足に過ぎないと言われるようになりました。例えば、トイレに行けるのであれば、ウォシュレットを使うだけでも清潔さに貢献します。介助で一番邪魔なのは、介助者側の固定観念なのでしょう。介助者の固定観念を抑えるだけで高齢者の満足度は大きく上がることでしょう。
アルツハイマー型認知症の周辺症状が出ない母親
認知症には中核症状と周辺症状という2種類の症状があります。認知症高齢者を抱える家族は、認知症についてできるだけ知識を入れておきましょう。例えば、徘徊は中核症状ではなく周辺症状です。中核症状を抑えることは難しいものの、周辺症状は環境によって抑えやすいもの。主な周辺症状を挙げますと、
- 徘徊
- 攻撃行動
- 抑うつ
- 不安
- 興奮
- 被害妄想
- 焦燥感
僕の母は、ほぼ周辺症状がありません。唯一、トイレに間に合わなかったときだけパニックになるようですが、優しく「気にしなくていいよ」と声をかけると2,3秒で落ち着きます。
周辺症状が出ないようにする工夫がある
周辺症状は高齢者本人の心の有様が表に出てきたものではありません。では、何かというと、介助者の心の有様が高齢者の周辺症状として表れてきたものなのです。これは学説でもなんでもありませんが、僕自身そう思って行動すると、うまくいきます。介助者が乱暴にしない。介助者が慌てない。介助者が不安にならない。そういうことの積み重ねが僕が母に対して実行していること。言葉を変えると前回に触れた「受容する」ことそのものです。受容することで要介護2のときと変わらず、気楽に要介護4の母と暮らせているのです。
夜中の母の世話も全然大変じゃない
母は下肢筋力が低下していますので、手を引いてあげないとベッドからトイレまで歩けません。夜中でもトイレに行きたがりますので、その話をするとみんなして「それは大変やね」と言いますが、全然大変ではありません。老人ホームでたくさんの高齢者を見ているわけではありません。たったひとりの高齢者の介助をしているのです。おそらく一晩で20分も介助していません。夜中に不安や興奮状態になることはありませんし、下肢筋力の低下(主な原因はこれではないと思いますが)から徘徊もしませんので、世間で思われているよりも遥かに楽と思っています。
認知症高齢者の周辺症状は介助者の心の表れ
これをちょっと意識して高齢の親と暮らしてみてはいかがでしょう。きっとお互いに意外と楽しく暮らしていけますよ。
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