ガンを告げられた人にどんな励ましの言葉をかける?

僕の年齢が54歳ということもあって、最近は周囲にガンの告知を受ける方が増えています。中には「余命6ヶ月。できるだけ周囲の人と思い出を作っておいてください」と言われた方もいます。

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病気は日頃の行いを考慮してくれない

ガンは生活習慣病ですので、正確に言うと日頃の行いによる部分が大きいのですが、この場合は「いい人」とか「悪い人」とか「立派な人」という意味です。いい人も悪い人も立派な人もガンになります。「神様はどんな基準でこの逆境を与えるのでしょう?」って、神様を試すようなことを口にしてはいけないんですって。神様を恨むような言葉も慎みましょう。神様は一人ひとりに合った人生を送らせているのです。寿命が短いか長いかだけの違いは、神様にとっては平等であり公平さの範疇なのだと思います。
それと、人は病気で死ぬのではありません。寿命で死ぬのです。それは「いつか訪れる死」に対する覚悟のきっかけになると思います。

でも酒と煙草は控えたほうがいいよね

昨日ガン告知を受けた方は食道ガンだそうです。2年ほど前に舌ガンがみつかり(舌ガンが見つかったのは「堀ちえみ」さんの舌ガン発見からです)、その後経過は順調だと聞いていたのですが、今回残念な告知となりました。手術後に酒と煙草をやめるように言ったんですけど、やめなかったのです。これを「わがせ(九州弁で「自分のせい」)と言い切ってしまうこともできますけど、やめられなかった心の弱さもその人なりだと思うのです。その「人となりの人間性」まで否定したり非難してはいけません。弱さも強さも人として持ち合わせているものなのです。ただ、事実を受け止めるしかありません。その方も「後悔している」と言ってますが、身近な人ぐらいは「その後悔」も受け入れてあげてほしいと思います。その上で、今も過度のお酒とタバコに心が依存している方は、お酒は適量に、煙草はやめましょう。

僕がガン告知を受けたときの先生との会話ですが、
先生「今までに喫煙歴はありますか?」
僕「あります。20年以上吸っていましたが、5年ほど前にやめました」
先生「あなたのガンは、いつ煙草をやめたかが問題ではないんです。人生の中で喫煙歴があるという事実が原因として存在しているのです。ただ、やめたのでしたら結構。これから向き合っていきましょう」
先生の「僕という人間を受容する態度」に心動かされ、「治療頑張ろう!」と心に決めました。

ガン告知を受けた人をどうやって励ます?

いろんなタイプのガン患者がいると思います。

  • とにかく優しい言葉をかけてほしいタイプ
  • どんな励ましも耳に入らずネガティブに捉えてしまうタイプ
  • 頑張って治療に立ち向かっているように見えて、精神的にきつくなっているタイプ
  • 覚悟して自分を受容し、逆に周囲に対して心遣いするタイプ

僕の場合は上から3番めでした。4番めみたいな立派な人は、なかなかいないと思います。全部の人が上の4タイプに分けられるということはありません。千差万別、十人十色です。
全てのタイプの共通点は、一瞬なのか長い時間なのかは別として「自分の寿命」を意識します。元気にならない自分を想像します。その一方で、元気になりたいという希望も持っています。自分が抜けたことで周囲にどんな影響が出るのか心配します。このガンが治っても転移したり、再発したり、別なガンになるんじゃないかと心配します。そういう心配事が積み重なって、目の前のことに手がつかなくなったり、上の空になったりします。そんな自分を自覚できたり、自覚できなかったりします。
それを全部受け入れてあげてください。ワガママを言っている場合なんか、おそらくしっかりと自覚していると思います。手がつかなかたり、上の空だったりするのは自覚していないことが多いと思いますので、そっと「手伝うからさ」と声をかけてあげてください。「どうしたの?」とか言わないように、「どうして」なのかは自分でも分かっています。

では、どうやって励ますのか?まず「頑張れ!」とか「負けるな!」はやめたほうがいいと思います。「あんな生活していたら、いつかガンになるって言ったじゃん」「酒を控えろって言ったよね」は最悪。めっちゃ後悔している本人の心の傷に塩を塗るような言葉です。「希望を捨てないように」も良い言葉のように思いますけど、本人自身は自分の状態は自覚しながらも本人が一番希望を捨てませんので、その言葉は励ましの言葉にならないような気がします。「今の君の気持ち分かるよ」もガン経験者は言って良いですけど、未経験者はやめたほうがいいと思います。本人は「あなたは絶対に分かってない」ぐらいのことは思っています。ステージを尋ねるのもやめてくださいね。ステージ1なら苦笑いで済みますけど、ステージ3以上は最悪の現実です。

ガンになったことがない人は「いつも応援している」という言葉をかけるのはいかがでしょう?
余命宣告を受けた場合、お守りを渡したい時は渡してあげてください。「こんなの無駄だよ」という言葉が返ってくるかもしれません。でも、それも受容してあげてほしいです。お守りを放り出されたら、自分の怒りや寂しさの感情を押さえて、そっとテーブルの上や棚の上に置いてあげてください。それは貴方の思いが詰まっているお守りですから、いつか貴方の思いが必ず伝わると思います。

家族にかける思いやりは?

こっちのほうが難しいかもしれませんね。僕は自分がガン患者であると同時に、ガンにかかった母の家族でもありました。その時に意識したのは、やはり「母の寿命」です。それは家族としての「覚悟」というものだと思います。
人はいずれ死を迎えます。人生のどこかで寿命を考えられるのは、ある意味幸せなことだと思っています。事故や急死の場合は、このような覚悟ができません。なので覚悟ができることが幸せなのだと思います。残りの人生をしっしっかりと生きようという覚悟ができるからです。もちろん、そうじゃない人もいますけどね。
そして、家族の寿命についても覚悟をするべきときが来ます。来たら幸せだと思って、幸せな死に向かって計画を練らなければなりません。それは家族の絆を深めていく大切な覚悟だと思います。
ですから、家族には「何があっても、何がなくても後悔がないようにね」というのはいかがでしょう。「気持ちをしっかりと持って支えてあげてね」もいいかな。「普段どおりでいいから」もいいと思います。僕の母は、僕がガンで入院している間、ものすごく普段どおりでした。それはそれで、ガン患者本人としては気が休まります。
「大丈夫!大丈夫!」とかはやめておいてほしい。大丈夫じゃないと告知されているときには、無責任な言葉のように受け止められてしまうかもしれません。

できるだけ淡々と普段どおりに。でもいつも笑顔で!

「いつも笑顔で!」って書きましたけど、ぜひお見舞いに行ってください。入院のときも通院のときも顔を見せてください。
「どんな言葉をかけていいかわからない」のでしたら、この投稿を参考にしてください。
元気になったら、以前と変わらず遊びに行ってください。元気にならなくても「いつも応援している」と声をかけてください。そして、そばにいない時も応援してあげてください。

そんな感じですかね。上から目線的で書いてあるように思えるかもしれませんが、これは僕自身のための投稿です。僕の覚悟です。

来年も再来年もその次の年も「なんじゃもんじゃの木」を見ようね。いつもそばで応援しているぜ!

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この記事を書いた人

チームワークを得意とする介護業界に勤めるサラリーマン。Macで仕事をしていますが、それだけでモチベーションが上がります。時々、山に登ります。コタローという名の保護猫を飼っています。ゆったりマイペースで参りますので、よろしくお願いします。

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