リクエストを頂いたので、「悪い人たちシリーズ」を展開しようと思う。
営業マン・経理マン・財務マン・企画部員・秘書室長・人事課長・総務課長・経理課長・公開準備室長・事業戦略部長・経営管理部長・経営企画部長などとやっていると「悪い人たち」との出会いは避けて通れない。どんな悪い人がいて、どうやって回避してきたのかを綴っていこうと思う。基本的にはクレーマーか詐欺師だと思ってもらいたい。
口の汚い市議会議員先生
ということで、記念すべき第1回は超クレーマーな某市議会議員A。
Aさんは建設会社を経営していて市議会議員に当選した人。ご存知だと思うが、建設会社の経営者は、その建設会社が公共工事を請け負っていると市議会議員に当選した段階で経営から手を引かなければならない。が、後ろで糸を引いていたりするものだ。
Aさんが退いた(こういう表現をしないとマジでヤバイ)建設会社に納品されていたコピー機が内部ドラムが結露して使い物にならないというクレームだった。当初、営業マンがクレーム処理にあたっていたのだが、あまりにも鬱陶しく「上を出せ」というので、営業マンも困り果てて(議員先生だし)私のところに相談に来た(当時、私の役職は経営管理部長)というわけだ。もちろん営業部長も行ってるのだが、こてんぱんに「お前なんか来やがって!!!」とやられたそうだ。
対応の不味さを謝ることからスタートして、話を整理すると
嫌だが行ってみた。
名刺交換すると○○市議会議員とある。なんとか委員会委員とも書いてある。写真付きだけど、しっかりと孫を抱いていた。イメージは大切なんだと思った。話を整理すると、
・冬季になると内部が結露して使えなくなる。
・そのたびに修理依頼をするのだが、複合機なので修理が来るまで使い物ならない。建設業なので施主からの大事なFAXだと大変な問題だ。
・コピー機メーカーのサポートセンターに連絡したら、「初期不良かもしれませんね」と言われた。
・故障中に損害が発生しているかもしれないので、それを賠償しろ。
・コピー機のリース料も今後一切払わん。
この内容を約30分間聞かされたのだが、最初はこれまでの対応の悪さもあって、すごい剣幕だった。が、聞き終わる頃は私に向かって「○○ちゃん、なんとかしてよ」とおっしゃる。私、クレーム処理はうまくやるのだが、なぜか名前で「○○さん」か「○○ちゃん」と呼ばれる。私からそういう空気感を出ているのだろう。
クレームを聞きながら作戦を練る
取り急ぎ、その場は持ち帰ることにして、3日後に連絡することを約束した。
どの程度の大きさの事件なのかをその場で考えて、何日で答えると言う判断をしなければならない。ポイントは「コピー機メーカーのサポートセンターに連絡したら、『初期不良かもしれませんね』と言われた。」ことだ。 これを聞いた時に正直「勝った!」と思ったので「3日後」と言ったのだ。この場合の「勝った」というのは「私の会社には100%非がなく、金銭負担ゼロで円満解決できる」と、「初期不良とはメーカーによって厳密に定められていて、一社員が憶測で初期不良ということは許されていないのに、言ってしまった」からだ。
サポートセンター長へ連絡
帰ってメーカーのサポートセンター長に連絡し、上記内容を伝えたところ飛んできたのだ。
「通話記録を照合した結果、サポートセンターの社員が言ったかもしれないというので、私がその市議会議員さんのところへ行くことにした。ついては部長もご同行願えませんか?」とのこと。
再度面談
約束どおりに「私から」Aさんに連絡しアポイントを取った。サポートセンター長が電話すると言ったのだが、人のやることなんて、いくら巨大メーカーの「長」が付く人とはいえ、簡単に信用してはいけない。「私」が約束したことは「私」が履行すること。
私が初めて行ってから、ちょうど1週間後。私とサポートセンター長は市議会議員先生と面談した。
我々からの提案は以下の通り。
・メーカーのサポートセンターの社員が「初期不良かも」と言ってしまったので、メーカーが残額リース料を支払って責任を取る。
・メーカーが損害賠償に応じるので、具体的な金額を明示してほしい。
・残額リース料と損害賠償額以外は支払えない。買い取り対応までのリース料は機械機能を享受しているので無理(こういうのって判例もあったと思う)。故障期間中のリース料の取扱については損害賠償額の中に含めてほしい。
・買い取り処理後、コピー機は即回収させてもらう。
Aさん「コピー機がなくては困る!」というのだが、そもそも市議会議員先生の言い分は100%飲んでる。制度上、回収しなければならないだけだ。
それと「損害賠償額の具体的明示なんて無理!」とのこと。無理だろうと思っていた。慰謝料というのは具体的明示の必要性はないが、損害賠償額は具体的な明示がなければならない。かと言って、コピー機が壊れたぐらいで慰謝料の請求なんて、この日本では裁判で勝てっこない。本音は「迷惑料ぐらい包んでこいよ」ということを言いたかったのだろうが、それは恐喝に近いので我々から警察に出向く可能性が否定できない。恫喝された証人はこちらには2人もいるのだ。
私達の読みはこうだった
・リース料をケチりたいだけ。コピー機はいるんだろうと思っていた。
・損害賠償という言葉を出して、お金もせびり取りたかった。
という、けちくさい人だろうと予測していたのだ。ただ、それに市議会議員のバッジを利用するのは悪い人だと思う。
めでたし!めでたし!
Aさんは渋々承諾し、和解文書を作成し終了。
残額リース料約50万円はメーカーがリース会社に支払うこととなった。
メーカーもクレーマーと手が切れて清々したことだろう。メーカーなんて兆単位の売上なんだから50万円ぐらい大したことないだろう。
気持ちよく終了できたのは、この市議会議員先生に1円も払わなかったからだ。この先生、何の得にもなってならないことを、長々とやっていたことになる。本当の損得勘定が下手な人と言って良い。
恫喝された社員2人は損しただろうと思うけどね^_^;
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