小学生からの質問シリーズ。2回めにして最大にして最高の超難問である。
「先生、楽しい仕事を教えて。私、それになる」
どうするよ!?楽しく仕事をするのはどういうことなのかを考えながら答えた。今までの仕事は楽しかった。その経験を踏まえて驚くことを言おう。
「楽しい仕事」=「大変な仕事」なのだ。
楽しく感じている時、それは時間を忘れ寝食を忘れ没頭できているだろう。得意なゲームをやっていて苦痛な人はいない。誤ってセーブをし忘れて電源を切ったとしても、立ち直ってまたリセットできるはずだ。そして、それは意外と大変な道のりを経ている。ただし、ほとんどの場合はお金にならない。お金にならないものは仕事ではない。ここで考え方を反転させよう。時間を忘れ寝食を忘れ没頭できることでお金を得ることができれば良いのだ。ひとつ注意点がある。例えばゲーム好きだからと言って、ゲームを作るのが楽しいかというと決してそういうことではない。アニメ好きだからと言って、アニメを描いていて楽しいかどうかは別問題だ。私は若い人に好きなことを職業にしないほうが良いという。好きなことと得意であることは別なのだ。得意なことを仕事にしなさいという。話を元に戻そう、相手は小学生だ。
私はこう答えた。「楽しくない仕事もかなり多いんだ。人から教えられる仕事の殆どは楽しくないと思う。でもね、楽しい仕事って本当にあるんだよ。それは好きな人に役立つことを仕事にするといい。きっと寝なくても平気だし、御飯食べるのも忘れるぐらい熱中できると思う。その仕事をしている間、ずーっと好きな人のことを考えることができるからね。君の好きな人は何を望んでいるだろう。」それが医者でもいいし、パティスリーでもいいし、弁護士でもいいし、証券マンでもいいし、アニメーターでもいいし、ゲーム開発者でもいい。好きな人とはまさしく自分以外、つまり社会を相手にすることだ。好きな人の役に立つものが出来上がるのなら、きっと沢山の人の役に立つ。実際にこのことを胸に刻んで4浪までして医学部に進んだ子がいる。その子は病気で死んだ大好きな弟のために医学の道を選んだのだ。もう10年以上が経っているので、医者になって大変な思いをしているだろう。ただ、そんな思いで仕事をしている人ばかりになると、きっと世界はもっと明るくなるのではないか。
医学部に合格したという知らせを聞いた時、先生という仕事は大変だけど楽しい仕事だと思った。先生も悪くない。
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