損切る勇気

少し仕事の話をしましょう。

私は元証券マン。証券会社とは、主に株・債券・投資信託と言った有価証券の売買仲介をする会社ですが、そうではない仕事もあります。そして私は「そうでない仕事」の代表である特殊な法人向けのサービス部隊にいました。

法人向けサービスですから、日々の仕事はクライアント先の経営幹部との間で行われます。そこでは毎日、多くの経営幹部と面談を重ねながら、ビジネスを進めていく上で一番難しい判断とは何なのかを目の当たりにしてきました。

結論を言いますと「損切り」です。

損切りとは、本当は証券用語ですが損失を抱えた株を、今以上の損失を拡大させないために、早々と売り払ってしまうことです。企業経営についての損切りとは、主に損失を発生させている事業から撤退することを言いますが、もう2つ意味があります。それは将来発生する損失を回避するために、早々と事業から撤退すること。最後は、現在も損失は発生していないし、将来も損失が発生する可能性は低いが、今から事業の撤退をすること。1番目と2番めは分かりやすいと思いますが、3番めは???3番めを実行する理由は、選択と集中のためです。より効率よく利益を求めることができ、事業拡大に期する事が可能なものに集中するために切り捨てること。現在から未来に向けて10の利益を生むものよりも、100の利益を生むものに集中させる。こういう表現だと伝わりやすいと思います。しかし、現実には判断としてはどれも難しい。今までかけてきた情熱をそんなに簡単には諦めきれないものなのです。

ところが、優秀な経営者はこれができる。なぜか?全責任を取る勇気があるからにほかなりません。最近で言えば、富士重工(現在は「スバル」と社名変更しました)の吉永CEOはこの勇気を持った経営者と言えるでしょう。実は孫正義氏も同じ勇気を持った経営者のたぐいだと思います。

拡大することは、身の丈にあった拡大であれば意外と簡単なのです。銀行や投資家と言ったお金の出し手に対する説得力があれば、後は豪腕でなんとかなるものです。しかし撤退は多くの犠牲を払わなければなりません。従業員の雇用維持も難しいかもしれない、お金の出し手からの信頼に傷をつけるかもしれない。撤退地域との信頼関係も壊れる。テコ入れ可能だったのに撤退しかできかなったと無能の烙印を押されるかもしれない。後ろ指を刺されることばかりでありますが、歯を食いしばりながら勇気を持って撤退する。臆病者が撤退するのではありません。本当の臆病者は・・・何もしない経営者です。

ということで、このブログではビジネスについても書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします(^^ゞ

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この記事を書いた人

チームワークを得意とする介護業界に勤めるサラリーマン。Macで仕事をしていますが、それだけでモチベーションが上がります。時々、山に登ります。コタローという名の保護猫を飼っています。ゆったりマイペースで参りますので、よろしくお願いします。

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