プロローグ
僕のサラリーマンスタートは東証一部上場の証券会社でしたから、まぁまぁな大企業だと思います。良かったのか悪かったのか?考えてみました。
ちょっと下駄はいているから差し引いてね
僕が入社したのはバブルの絶頂期です。かつ同級生は丙午(ひのえうま)世代。日本の産業史上、就職するまで一番競争を経験していない世代です。会社訪問すれば内定が出ました。しかし、そんな時代でも人気の高い会社はハードルが高かったように思います。SONY、東京海上、トヨタ、新日本製鐵、松下(パナソニック)、日立、NEC、三菱商事といった一流と言われる会社は相手にもされません。入れそうなところに会社訪問に行って、内定もらったというのが正しい。それと僕の両親は福岡県の地方都市の散髪屋さんとパーマ屋さんですので、コネとか全くないままに入社しています。いろいろありましたが、今の時代よりもはるかにチャランポランで職が決まった時代でしょう。
社風って大事だと思う
たまたま入った会社の社風が良かったと思います。それは「チャンスを与えてくれる」社風です。まず僕自身でお客さんを開拓したのは同期入社で一番遅いという醜態でした。肩身が狭かった〜(〃ω〃)。その一方で配属直後には副社長から声をかけてもらえるようになり、配属後3ヶ月経過すると社長から覚えてもらい、入社半年で食事に誘っていただいていました。1年経過して当時の現役社長が亡くなったのですが、その時の社葬、僕は取締役と監査役の直後に並んで来賓のお出迎えをしました。同期入社は駐車場の案内係です。その時に同期から「お前が大事にされる意味がわからん」と言われていました。 2年経過すると本社内のほとんどの部長さんたちから覚えてもらえるようになりました。数年後、ある会社の取り組みに失敗しまして冷や飯を食わされることになるのですが、その冷や飯がラッキーなことに企画部門。
僕のいた会社の社風は、取引先の常務さんが僕に対して発した最初の言葉が端的に表しています。
「新入社員をよこしてくるとは、君の会社はなんて失礼なんだ!」
常識とはかけ離れた思考の会社だったと思います。言ってみれば、ベンチャー企業よりもよっぽどベンチャー精神あふれていました。
自慢話ではありません。ちゃんとチャンスを活かした
同期入社全員に平等にチャンスは与えられていましたが、チャンスを活かしたのが僕だったのです。それに何故か無理難題を次々と解決できたのです。上で紹介した会社以外にも誰も開拓できなかった会社に行き、口座を開いてもらったことがあります。最初、諸先輩方は「お前には無理無理」だったのですが、担当役員からの指令は「口座ができなかったら辞表を出せ」(厳しいでしょ)でした。で、口座開設申込書を持ってきて担当役員は大喜び!実は僕でなくても口座は開設できたはずなんですけど、社内でトライしたのが僕だけだったのです。
大企業はこういう「落とし穴っぽいチャンス」がたくさんある。会社が大きければ大きいほどチャンスの数は大きく、成功したときのジャンプアップも大きい。大事なのはチャンスはピンチの顔をしてやってくるので腹をくくって取り組む姿勢が大事です。
でも成功の大半は「運」だと思う
僕は本当に特別な人間ではありません。カッコつけていただけで、上昇志向はありましたが、向上心はなく、物覚えは悪い。物覚えについて言うと、悪いと言うよりも間違った覚え方をするタイプ。当時は証券マンでありながら、経常利益と当期純利益について全然勘違いの覚え方をしていました。厳しく訓練されましたので言葉遣いだけは丁寧だったと思いますが、それでも一度専務に「ハンコください」と言ってしまい1時間お説教を頂戴したことがあります。「『ご印鑑をいただけますでしょうか』となぜ言わん!!」とのこと。専務室から僕が出てこないので部長が心配して迎えに来まして一緒に怒られてもらいました。そのあと部長から怒られました。それでも大事にされたのは「運が良かった」以外に考えられません。
つまり大企業入社は「運試し」には最適なんだと思う
夢も希望も失いそうな結論を書いてしまいましたけど、組織論だったり、出世のノウハウだったり、自己啓発だったりと本が出ていますが、あまり役に立ちません。怒られた方がよっぽど身につきます。だいたい高校大学での勉強は人生に活きるけど職場での役には立たない。学歴云々ということが言われますが、入社試験さえパスすれば学歴もあまり関係ないかも…入社の段階で学校の名前で選抜から落ちることありますからね。多分、ホンダでもSONYでもAppleでもそうなんじゃないかな。僕のいた会社って、よく考えると夜間大学出身者がたくさんいて偉くなっていたから、元々関係なかったのかも。最初の社長も夜間大学卒だったし。話を戻して、今までの実績を出していた人が未来永劫続くかどうかは運ですし、実績がない人間が実績を積み上げていくのも運だと思います。もちろん運を手繰り寄せるための努力というのはあります。(学歴については別途書きたいと思います)
運を手繰り寄せるための努力って何?
5つです。
1.明るい笑顔を忘れない
2.素直に他人の意見に耳を傾ける
3.真剣さを示す
4.共感力を磨く
5.思い切った発想をする
明るくニコニコと振る舞いながら、他人の意見に耳を傾け、怒られているときと仕事をしているときは神妙な顔つきをして、他人が怒られていたら自分のことのように反省しながら、今までのタブーに挑戦してみる。判断力や決断力という重要な力は、あとから付いてきます。
エピローグ:運試ししてみる?
大企業ってそういうところなんだと思います。「俺は大きな組織の小さな歯車なんかになりたくない」という人をたまに見かけますけど、それはそれで正解です。でも歯車以下かもしれませんし日本の太陽かもしれないのです。そんなことはやってみないと分からない。チャレンジャーであることが大事。力があると思うのなら運試しをした方がいい。あとからベンチャー企業(って言葉が嫌いなのでスタートアップ企業といいます)に行けばいいと思います。ただ、日本の大企業で使い物にならない人がスタートアップで使い物になるとは思えない。僕が感じたスタートアップって大企業の500倍ぐらい実力社会ということです。本物じゃないと通用しない気がする。「運」はスタートアップの方がきかないですよ。僕は良く言うんですけど、孫正義は孫正義だから孫正義なのです。孫正義以外は孫正義になれません。貴方は貴方以外の人にはなれない。であれば、孫正義の後を追うのではなく、自分自身を切り開くことが大事です。大企業への就職は、そのための運試しとして使っていいのではないでしょうか。
今のホンダF1のテクニカルディレクターも一時期は冷や飯を食ったらしいですけど、あの桧舞台に立たせてもらえるのです。
では、また次回!
コメント