大雨が降ったので高齢者施設に勤める僕は入居者様に避難していただいた

福岡県は一昨日から大雨。大雨警報も洪水警報も出てるし、ついでに土砂災害警戒警報も出ている。なかなか難しい判断だったが、昨日の明るい時間帯のうちに入居者様に高台に避難していただくことにした。

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施設は洪水浸水想定区域に指定されている

ということで大雨に関する避難の決定には神経を使う。それに暗くなると夜勤者は1人になるので実質的に避難は不可能。夜勤者1名に避難開始の判断と避難実施の負担を強いることはできない。ということで夕方の5時15分に避難開始決定の判断をした。

なぜ夕方5時15分に決めたのか

  1. 明るいうちに避難完了すること。
  2. 入居者様の夕食が終了すること。
  3. 最小限の残業時間で最大限の職員を配置すること。日勤者の終業時間が午後5時30分ということもある
  4. 夜勤者の負担を最小にすること。
    ということに配慮した結果だ。

避難開始決定から避難終了までに要した時間

ちなみに避難した人数は15名。それに対して職員7人で避難実施にあたった。僕も普段は事務長で現場の介護に関わることは少ないんだけど、今回は特別参加。さて、時間の経過を見ると、
午後5時15分 避難開始決定
午後7時15分 避難開始
午後8時15分 避難完了
午後9時45分 入居者様就寝完了
まず、避難準備開始から避難開始まで2時間かかっている、後で問題点を整理するけど、時間がかかり過ぎのように見えるが、大雨警報が出ているとはいえ、近くの河川が水位的に余裕があったと判断し、食料、寝具、おむつ・パッド等の準備点検搬入を余裕を持ってやったからにほかならない。
さらに避難開始から完了まで1時間。片道10分のところにある大きめの避難先に10人を避難させた。その際に施設から車へ、そして車から避難先へ移すのに要した時間が含まれている、1時間ー10分で50分。10人なので1人あたり5分かかっているという計算。はっきり言って、この時間は優秀と思っている。違う見方をすると、要介護状態の高齢者を避難させるのに介護技術を持った人間でこのぐらいの時間がかかるので、未経験者だと「まぁ大変」ということが想像できる。

行政の対応

こちらが避難開始を決定する際に当然自治体に連絡したのだが、その回答は。。。
「自宅内に待機してください」
「避難指示が出ない避難所が開設できない」
「自主的努力でなんとかしてほしい」
つまり、ほぼ期待できないと思ったほうがいいかも。市町村が期待できないということを福岡県と協議するけどさ。まぁ、かなり残念だと思った。

消防署との協議

消防署は風水害避難は管轄外なんだと、もちろん「最後の最後は人命優先で動きます!」ということだったが、結構人命救助の最後の砦に近いところの位置づけらしい。「火災はまかせろ!」とは言ってくれたけどね。

問題点を羅列すると

  1. 避難を意思決定してから実際に避難開始まで2時間。
  2. 持ち出しモノ。寝具(重度者のベッドも含む)、おむつパッド、食事、薬、パジャマの準備。いざとなったらおむつパッド、食事、薬だけとか優先順位をしっかりとつける
  3. 最後に取り残された入居者様がいないか確認する
  4. 職員の財産も守る義務がある(車等)
  5. 入居者様の割り振りをするときに相性もかなり大事
  6. 避難開始前の説明等、避難場所についてからの説明等、説明を十分に行う
  7. 避難開始から就寝まで2時間30分
  8. 15人を避難させるのに、6人から7人のメンバーが必要
  9. 今回は准夜勤帯(5時15分)に意思決定をしたが、避難の人手のことを考えると、この時間の判断がギリギリ
  10. 夜勤者に避難の判断と避難実施の負担をかけないようにする
  11. 警戒レベル3だと避難場所が開設されてない可能性が高い
  12. 優先順位のつけ方として、ゲストさんのADLに応じた避難場所、ADLに応じた寝具(ベッド)使用、招集する職員、持っていくもの、行政との連絡(避難所の開設状況と受け入れ状況)
  13. 警戒レベルと高齢者避難開始相当という言葉の関連性が全く分からない
  14. 風水害避難は市役所の担当。消防署は火災避難の担当
    という感じだった。

エピローグ

避難終了後に近くの河川水位は下がり緊急性はなくなった。取り越し苦労で終わったといえばそうだし、絶好の避難訓練だったということも言える。想定外のこともあったので、それを踏まえて避難確保計画の見直しをしなければならない、
高齢者施設の管理者をやっている友人は
「避難開始の意思決定は笑いものになる覚悟でやらないといけない」
と言ってたのだが、まさにそのとおりだと思った。避難開始の意思決定ってストレスかかるのよねw

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この記事を書いた人

チームワークを得意とする介護業界に勤めるサラリーマン。Macで仕事をしていますが、それだけでモチベーションが上がります。時々、山に登ります。コタローという名の保護猫を飼っています。ゆったりマイペースで参りますので、よろしくお願いします。

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